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僕の心の詩

二枚のコイン♪

風車村1

二枚のコイン♪


僕等がまだ若かった頃
二人でパリに旅に出た。
パリに憧れていた二人は
見る物感じる物全てが新鮮で
僕等のテンションは上がり気味だった。

セ-ヌ川のほとりを腕を組み
パリジャンヌになった気分で歩き
街角の弾き語りの音楽に
心奪われた。

ル-ブル美術館に行って
モナリザを目の前にして僕は
"君のが綺麗だね"と囁いたら
君は微笑みながら
"有難う"て言ってはにかんだ。

僕等はモンマルトンの丘に登り
パリの夕焼けを見ながら語った。
まだ先の分からぬ二人は
将来に対して不安を抱きながら
会話に熱くなった。

モンマルトンの丘で
心の想いでを詰め込むように
二人の似顔絵を書いてもらった。
言葉が通じない絵描きさんに
僕等は最大の敬意を払い
何度も似顔絵を覗き込んだ。

パリのシャルルドゴ-ル空港を旅立つ前に
残ったコインを一枚づつ分けた。
もし二人が将来結ばれる事があったら
10年目の区切りの日に
二枚のコインをこの似顔絵の前に
重ね合わせようとささやかな約束をした。

あれからいく歳が経ったのだろうか
僕等はめでたく結ばれて
ささやかな家庭を気づく事が出来た。

明日、結婚して10回目の記念の日
僕は思い出したようにあの時の
コインを部屋の片隅に飾られた
似顔絵の前に祈る想いで置いた。
君は覚えているのかな-と思いつつ
僕は明日を楽しみに
一夜をドキドキさせながら
緊張の中寝付けない夜を過ごした。
寝ぼけ気分で朝起きて見ると
そこには二枚のコインが
優しく時を忘れさせぬかのように
綺麗に重ね置かれて
振り返る僕に君は小さく微笑んだ。


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